オールドハイウェイの旅で特に印象的なのはあちらこちらに棄てられているクルマや潰れてしまったガスステーション、それから看板だけがとり残されたモーテルやレストラン。
どれも斜陽──というよりも既に終わった光景である。しかし何故かボクはそんなシーンを目にするといてもたってもいられなくなり、ついついクルマを駐めてしまう。
そしてそんな場所に足を踏み入れ、乾いた風を感じたときに何となく頭に浮かんでくるフレーズがある。 それは“夏草や 兵どもが夢の跡”ゴールドラッシュや大恐慌の時代に人々がこの道を西へ向かった様子は、 ある意味で戦とオーバーラップしたとしても不思議じゃない。
しかし、毎日バーガーとコーラを口にし、リーバイスをはいてダッジのハンドルを握る旅なのに芭蕉の句が飛び出してくるんだから、 やっぱりボクも日本人なんだなとつくづく思う。